十五夜
『十五夜』は『中秋の名月』とも言います。
名前の由来はそのまま、秋の真ん中で見られる名月という意味。
けれど、9月にある十五夜の何処が秋の真ん中なんだろう?って思う人もいるのでは?
実は、この『秋の真ん中』といわれている『十五夜』
昔の説明で言うと…
8月の15日のことを言います。
8月って夏じゃないか!って思う人もいるかと思います。
けれどそこは、あくまで『昔』
知っている人も多いかもしれませんが、新暦と旧暦では大きな違いがあります。
西洋歴。
つまり今の1年12ヶ月の暦は明治5年(1872)に採用されました。
これと昔の旧暦とでは、なんと一ヶ月以上ものズレがあるのです。
新暦では…9・10・11月が秋。
けれど、旧暦で分けると…
1・2・3月が春
4・5・6月が夏
7・8・9月が秋
10・11・12月が冬
という分け方になります。
数字だけ見ると妙な感じがしますね。
この暦の変更で大きく変わってしまった事は、月の満ち欠けと日取りが合わなくなったことにあります。
旧暦は月の満ち欠けに合わせられていて、月末の晦日は必ず、新月の闇夜であり、15日は必ず満月でした。
それから七草や七夕などは、7のつく日は上弦の月となっています。
二十三夜だったら下弦の月…というように、生活と行事は月の満ち欠けに合わせられていました。
『太陰暦』というものです。
今の『太陽暦』は、地球が太陽の周りを一回りする1年を12等分し、一ヶ月を決めたものなので、月の満ち欠けとは無関係になってしまったのです。
逆に言うと、太陰暦は地球の動きに合わせていないので、ズレがあり、大の月(30日)と小の月(29日)との交互で一ヶ月の日取りが決まっていましたが、その所為で閏月という13月というものが存在していました。
今は、13を忌み嫌う人はどのくらいいるでしょうか…
『13』という数字は、キリスト教が嫌っている数字で、13月というものはありえないのかもしれません。
余談ですが、時間が12時まで、1年が12ヶ月…というように、西洋では13が徹底して避けられるようになった…とか(笑)
さて、十五夜に話を戻しましょう。
昔から、秋というのは気候が大きく変化して、前半は残暑です。
秋雨の日が続くというような時期でもあります。
しかし、後半は乾燥した冷たい空気が大陸から流れてくるために、秋晴れという大気の澄んだ季節となり、また、その空気が澄んで夜空が一際綺麗になることから、お月見にちょうどいい季節とも言われている。
また、月の出が早くなること。
さらに、この時期は稲や芋を始めとする様々な収穫をする時期であり、この『中秋の名月』は、そういった作物の収穫祭としての意味もあったとか。
なので、『中秋の名月』の別名が
『芋名月』
といわれています。
ちなみに、十五夜と十三夜、このどちらかだけの月見をすると『片見月』と言い、あまりよろしくないようですね。
しかし何故、この十五夜という満ちた月を仰ぐのでしょうか?
日本では古来から月を信仰し、満月は豊穣の象徴でもありました。また月光には神や精霊が宿っているものとも言われていました。
『小正月』
というのを聞いた事があるでしょうか?
昔は月を基本とした暮らしのリズムがあって、その名残で残っているものです。
しかし、『十五夜』はもともと中国の清時代に行われていた行事で、それが日本へ伝来してきたものだ。奈良時代あたりと言われています。
そしてそれは当初は宮中での風流なもので、庶民へと『お月見』という形で広まったのは、近世以降と考えられています。
けれど未だ都市部のみで、農業を生活の生業としている地域は、月見よりも農耕儀礼としての意味のが強かったとか…
月見も、今では店で買ったススキと月見団子を供えるだけだったり、または何もしないというのが多いことでしょう。
けれど、昔は各地で様々な行事が行われていました。
全国的に、ススキと里芋等を始めとする作物が供えられていました。これは今でも行っている家庭があるでしょう。
この中秋の名月は里芋の収穫祭からきていて、別名『芋名月』と呼ばれているのは、ここからです。
さらに、供えたススキを軒下に吊るしておくと、一年間病気をしないと伝えられています。
さらに面白いのは、『お月見どろぼう』
お月見の日には、月見団子を盗まれてもそれは『月』が盗んでいったと称され縁起のいいものでした。それは団子だけでなく、畑の芋だったり家の柿だったり様々。
特に、その犯人は子供であり、『盗む』のではなく、地域によっては『貰う』ということになっているものもあります。
まるで『日本版ハロウィン』と言えて、面白いものですね。
中秋の名月と仲秋の名月
『仲秋の名月』
この言葉を見たりした事はあるでしょうか。
『中秋の名月』と音は同じだが、意味は違うものです。
中秋…とは、14日も書いた通り、陰暦8月15日の事を差し、秋の真ん中という意味。
何故8月が秋の真ん中なんだ?というのは、『十五夜』を参照
仲秋…こちらはもっと広い意味で、陰暦の8月を示している。
仲秋の名月は秋の澄んだ夜空に浮かぶ月の事を言っているので、十五夜の月に限らず、月の満ち欠ける姿を表現している。
今では辞書を開かずとも、PCで文字を打てばこのくらいの簡単な意味が出てくるでしょう。
十三夜
『十三夜』
に触れてみましょう。
平成17年の十三夜は10月15日(土)でした。
『十三夜』というのは、もちろん陰暦13日の夜のことを言うが、特に陰暦9月13日の月の事を意味します。
そしてこの『十三夜』のお月見…これは中国から伝わって来たものではなく、日本独特の行事です。
一説によると、宇多法皇が陰暦9月13日の夜の月を愛でて
『無双』
と賞したことが始まりと言われています。
また、醍醐天皇の時代(延喜19年、919年)に開かれた観月の宴が風習かしたものとも言われています。
陰暦9月13日の月は、あまりすっきりしない日が多い十五夜の夜に比べ空が晴れることが多いので、この月もまた美しいとして縁起の良いものとして重んじられてきました。
そして、晴れることが多いので、『十三夜に曇り無し』という言葉もあるくらいです。
この十三夜、十五夜に芋名月という別名があるのと同じようにこちらにも別名が存在します。
『豆名月』
『栗名月』
芋類を多く飾る十五夜に対して、豆…枝豆や栗を月見団子の他に神棚に供えていたからです。
そして、もうひとつ別名があって『小麦の名月』とも言われていました。
あまり馴染みがないですが、なんでも、この陰暦9月13日の天気で、翌年の小麦の豊作・凶作を占った習慣があったからとか。
何にしても、収穫する農作物が深く関わっている十五夜と十三夜です。